BIPV、産業系・公共系建築物で期待されるのはペロブスカイト太陽電池かと思います。
5月から次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会が立ち上がり、議論が行われています。
次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/perovskite_solar_cell/index.html
ペロブスカイトは軽量で曲げられるのでこれまで耐荷重等の課題から太陽光パネルを設置出来なかった様な場所に設置出来ること、塗布などの少ない製造工程で製造出来るためコストダウンが見込まれること、材料のヨウ素の生産量で日本が世界の30%を持っていること、などから期待されています。
グリーンイノベーション基金を使って研究開発が行われています。2025年度までに発電コスト20円/kWh、2030年度までに14円/kWhを達成することが目標になっています。ただこれは裏を返せば現状はまだまだ高いと言うことかと思います。またここで言う発電コストに何が含まれているかにもよりますが、PPAで見た様に現時点で発電家希望PPA 価格 平均値14.9円/kWh、需要家希望PPA 価格平均値14.4円/kWhの価格感でしたので、2030年度で14円と言うのが受け入れられる価格感かは懸念があります。
次世代型太陽電池の開発 https://green-innovation.nedo.go.jp/project/next-generation-solar-cells/
現状の耐久性が10年とのことなので、これを既存のシリコン系太陽光パネルの20年と同等レベルにすることでコストは半分になるかと思います。変換効率、耐久性等を上げて行く動きになるのだと思います。
シリコン系太陽光パネルでは数量が出ることによりコストも大幅に下がっていきました。塗布型のペロブスカイトがどの程度の量産効果を見込めるかは分かりませんが、ある程度は見込めるとすると、政府の導入の後押しも必要になるかと思います。
ヨウ素についても日本の生産量シェアが高いことは喜ぶべきことですが、ペロブスカイトはヨウ素のみで出来ている訳ではありません。官民協議会でも示された様に他の材料も使用して初めて製品として世に出せることになります。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/perovskite_solar_cell/pdf/005_01_00.pdf
9/20の日経に中国では少なくとも新興6社がペロブスカイトの工場を建設する計画で国内外の投資マネーが後押ししていると言う記事が出ていました。中国ではシリコン系と組み合わせたタンデム型が中心と言われていましたが、日本が得意とするフィルム型のベンチャーもある様です。ペロブスカイトを発明した宮坂教授の教え子がCTOになっているDaZheng Micro-Nano Technologies(大正微納科技有限公司)です。アモイに年産100MWの工場を建設中で2025年の量産を目標にしている様です。
DaZheng Micro-Nano Technologies(大正微納科技有限公司)https://en.dazhengtop.com
最終的にどの国の製品が主流になって行くのかは分かりませんが、数年後にはペロブスカイトが世に出て来てこれまで設置出来なかった場所に設置出来る様にはなって行くものと思われます。そうなると建物への設置が進んで行くものと思われます。