1月に入って伊藤忠と東邦ガスが分散型グリーン水素供給事業を手掛けるProtium Green Solutions社に出資したと言うニュースが出ました。Protium社によるとシリーズBと言うことで他の2社も併せて合計32百万ポンド(約60億円)を集めた様です。
Protium announces first close of Series B funding https://protium.green/first-close-of-series-b-funding
分散型グリーン水素供給事業を展開する英国Protium Green Solutions社への資本参画についてhttps://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2025/250110_2.html
地産地消型グリーン水素の製造・販売を手掛ける英国スタートアップ企業への出資についてhttps://www.tohogas.co.jp/corporate-n/press/1248224_1342.html
Protium社
Protium社は工場などに水素製造装置を設置して再エネから作ったグリーン水素を供給する事業を行っていると言うことで工場の脱炭素として面白い動きかと思いました。
現状、Protium社はPioneer1と言うプロジェクトで2023年から水素を170kg/週、提供可能な状況にあるとのことです。再エネとしてどの電源の電気を使っているのかが同社サイトからは分からなかったのですが、パートナーであるEnapter社のサイトに太陽光パネルの写真が出ていました。水電解装置 1台 2.4kW を40台使っているとのことなので96kW必要ですが、写真に写っているのはかなり小規模な太陽光発電なので不足部分はどの電源を使っているのか気になるところです。

パートナーとしては他にFuel Cell Systems社、南ウエールズ大学がいる様です。Fuel Cell Systems社のホームページにはコンテナに水電解装置を設置した製品が出ています。
HyPro electrolyser containers https://www.fuelcellsystems.co.uk/hydrogen-production
改めてこれらの情報を整理するとProtium社はEnapter社の水電解装置を積み込んだFuel Cell Systems社のコンテナ型水素製造装置を調達し、水素を提供していると言うことかと思います。
東京ガスの動き
Enapter社の水電解装置は東京ガスがすでに2023年に水素ステーションに導入している様です。東京ガスもProtium社もEnapter社の0.5m3/hの水電解装置を使っていて、東京ガスは30台、Protium社は40台とProtium社の方がより多くの水電解装置をコンテナに搭載している様です。
国内初、水素ステーションへのAEM水電解装置導入と水素製造・販売の開始 https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20230713-02.html
Protium社、東京ガスともオンサイトで水素を製造すると言う意味では今後に期待出来る動きですが、供給する水素の価格については分かりません。技術的に可能でもコストが合わないと使えないのでこの辺りは気になるところです。
伊藤忠、東邦ガスは海外での水素供給の知見を学び、東京ガスはいち早く日本で水素供給を実際に手掛けていると言うことかと思います。需要家の敷地内等から経済性のある水素が供給される様になるのはいつになるのか注目して行きたいと思います。