IHIも20年前に販売開始した蓄熱システムを活用しようとしています。
IHIの実証
IHIは2024.9.20に太陽光発電の余剰分を蓄熱システムに貯めてカーボンフリー蒸気を作ると言う実証の結果を発表しました。300kWの自家消費用太陽光で発電する電気が、PCS容量200kWを超えるため、通常は使うことが出来ない部分の直流電気を熱にかえて蓄熱システムに貯めると言うものです。
太陽光発電を無駄なく熱利用するシステムの実証運転を実施 ~直流・交流の利用による再エネ地産地消を推進し,カーボンフリー蒸気を生成~ 2024.9.20 https://www.ihi.co.jp/all_news/2024/technology/1201032_13684.html
蒸気源
この蓄熱システムは2005年に販売開始された「蒸気源」と言うものです。当時は原子力発電で発電された電気が夜間にあまり、安価な価格で提供されていたためその電気を熱として貯めると言うものでした。今は太陽光発電によって電気が余剰となるのは昼間なので電気を使うタイミングが逆になりました。
学校や事業所の給食施設用の厨房機器向けに蒸気を発生する機器として販売されていた様です。蓄熱材は 溶融塩 HTS(Heat Transfer Salt)およびマグネシア(MgO)クリンカを使っている様です。
夜間電力蓄熱式蒸気発生器「蒸気源」 https://www.iic-hq.co.jp/library/036/pdf/036_05.pdf
実証で気になる点
今回の実証は相馬市下水処理場で行われていますが、蒸気の需要がどこまであるのか、気になります。また余剰電気を余すところなく使うと言う意味では蓄電池も候補になります。この蒸気源は以前の価格として660万円の値がついています。今回の実証では7台使用したと言うことなので蒸気源だけで4,620万円の費用がかかる計算になります。1台あたりヒーター容量が27kWのためより多くの直流電力を受けるには7台必要だったと言うことかと思いますが、1台あたりのヒーター容量をあげて行くことでコストダウンを図る必要がありそうです。
https://www.tepco.co.jp/cc/press/betu05_j/images/050726a.pdf
時が流れ、昼間の電気が安い時代が来たことで以前とは反対の用途向けに注目される様になっているのは興味深いです。引き続き動きをフォローしたいと思います。
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