Google起源の蓄熱スタートアップ Malta社

Googleから出た蓄熱スタートアップ、Malta社について見てみたいと思います。

Googleからのスピンアウト

Google(Alphabet)のムーンショットプロジェクトXから2018年にMaltaはスピンアウトして設立されました。1998 年のノーベル物理学賞受賞でもあるスタンフォード大学のLaughlin教授のMass Grid Storage With Reversible Brayton Enginesをコンセプトにブレイトンサイクルを利用した蓄熱発電システムを開発しています。

Malta Inc              https://www.maltainc.com/ Robert Laughlin   https://profiles.stanford.edu/robert-laughlin               Mass Grid Storage With Reversible Brayton Engines  https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/B9780128198926000022

仕組み

再エネなどの電気からヒートポンプを使って空気を圧縮して熱を作り、高温の熱は溶融塩に、低温の熱は水等に貯めます。熱は蒸気として使われたり、蒸気でタービンを回して電気を作ります。電気を熱を経て再度電気にする場合の効率(RTE : Round Trip Efficiency)は55-60%と言うことで、100%の電気から55-60%の電気を生み出すと言うのは無駄な様で蓄電池にためる方が良い様に思えます。ただ、熱と電気の両方が必要となる場合、必要な熱の量が変動する場合はバッファーとして電気を生み出すこともありかもしれません。

発電容量としては50-500MWと言うことなのでかなり大型の設備として考えられている様です。天然ガス、石炭発電所の転換期のソリューションとしても考えられている様です。https://www.maltainc.com/assets/pdf/Malta-Data-Sheet-2025.pdf

投資家としては事業面での協業もあるSiemens Energy Ventures, Alfa Laval, COXの他にProman, Breakthrough Energy Ventures, X, the moonshot factory, Piva Capital, Chevron Technology Ventures, Dustin Moskovitz等錚々たるメンバーが入っています。

今後

公開されている情報ではMaltaのシステムが実際に稼働しているのかは良く分かりません。

スペインの金融機関であるBBVAとは初号機のファイナンスを含めたMoUを締結した様なので実際の設置に向け、各地で調整中と言うことかと思います。

BBVA and Malta Inc. sign agreement to advance collaboration on energy storage project in Iberia                                https://www.bbva.com/en/sustainability/bbva-and-malta-inc-sign-agreement-to-advance-collaboration-on-energy-storage-project-in-iberia/   2024.6.26

少し気になるのはMaltaの設立時からのCEOであるRamya Swaminathan氏が2024.10にPhil Delleville氏に交代したことです。Phil Delleville氏はMalta入社前はSiemens Gamesaにいたとのことなので、大規模な電力プロジェクトの知見ある者に変わったと言うことなのかもしれません。

MALTA INC. NAMES PHIL DELLEVILLE PRESIDENT AND CEO https://www.maltainc.com/news/2024/malta-inc-names-phil-delleville-president-and-ceo

商用機の実際の設置場所はどう言ったところになるのか、引き続きフォローしたいと思います。

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