豪州のLDES入札

日本では今年、第3回長期脱炭素電源オークションでLDESのカテゴリーが出来ますが、豪州のニューサウスウェールズ州ではすでに何度かLDESの入札が行われているので見てみたいと思います。

ニューサウスウェールズ州での入札
第6回LDES入札

ニューサウスウェールズ州での入札

シドニーも位置するニューサウスウェールズ州ではこれまで5回入札が行われ、うち3回でLDESが落札されました。LDESで落札したものは以下になります。

	プロジェクト	企業	技術	出力/容量	場所
Round1	Limondale BESS	RWE Renewables Australia	リチウムイオン電池	50MW/400MWh+	South West REZ
Round3	Silver City Energy Storage	A-CAES NSW Pty Ltd	圧縮空気エネルギー貯蔵A-CAES	200MW/1600 MWh	Broken Hill
	Goulburn River BESS	Lightsource DevelopmentServices Australia	リチウムイオン電池(ハイブリッドプロジェクト)	49MW/392 MWh	Merriwa
	Richmond Valley BESS	Ark Energy Projects	リチウムイオン電池	275MW/2200 MWh	Myrtle Creek
Round5	ACEN Phoenix PHES	ACEN Phoenix Pty Ltd	揚水発電	800MW/11,990 MWh
	Stoney Creek BESS	Enervest Utility Pty Ltd	リチウムイオン電池	125MW/1,000 MWh
	Griffith BESS	Eku Energy Projects(Australia) Pty Ltd	リチウムイオン電池	100MW/800 MWh

NSW Roadmap – Tender Round 1 https://aemoservices.com.au/tenders/tender-round-1 NSW Roadmap – Tender Round 3 https://aemoservices.com.au/tenders/tender-round-3-generation-and-long-duration-storage NSW Roadmap – Tender Round 5 https://aemoservices.com.au/tenders/tender-round-5-long-duration-storage-and-south-west-access-rights

LDESでの落札7件中、リチウムイオン電池が5件、圧縮空気エネルギーと揚水発電が各1件です。日本では揚水発電の新設は難しいかと思いますが、豪州では新設されるのが興味深いです。カナダ、イギリス他でも揚水発電の新設の計画があるためむしろグローバルでは揚水発電は新設される設備と考えていた方が良いのかもしれません。

圧縮空気エネルギーはカナダのHydrostor社の設備になります。同社には2022年にゴールドマンサックス社が2.5億ドル(約290億円)出資をしています。

Hydrostor Secures US$250 Million Investment from Goldman Sachs Asset Management to Accelerate Growth

https://hydrostor.ca/hydrostor-secures-us250-million-investment-from-goldman-sachs-asset-management-to-accelerate-growth

充放電時間は揚水発電は15時間、リチウムイオン電池、A-CAESは8時間です。日本は6時間なので豪州の方が少し長くなっています。

豪州ではLDSEが大きな一つのカテゴリーになっていてリチウムイオン電池、A-CAES、揚水発電等が含まれています。日本の場合はリチウムイオン蓄電池とそれ以外の蓄電池、LDESに分かれていてリチウムイオン電池以外の電池やLDESの落札可能性もある程度担保されている点が特徴と言えるかと思います。リチウムイオン電池はEV用途等により、急速にコストダウンしたので同じカテゴリーだとリチウムイオン電池の独壇場になる可能性があり、それ以外の電池の可能性を残すと言う意味では日本のやり方の方が良い様に思えます。