今年度2Qの太陽光のFIP入札結果で0円落札が出ましたのでこれについてみてみたいと思います。
太陽光第 25 回入札(令和7年度第2回)の結果についてhttps://nyusatsu.occto.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00PGA00000nrSyS
2025年度2Q 太陽光入札結果
今回の募集量は115MWで応札量が202MW、平均落札価格は5.38円/kWhでした。上限価格が8.83円でしたのでそれよりもかなり低い金額となりました。前回に続き今回も0円落札が8件、計8.2MW、落札容量全体の中の7.2%でした。前回は0円落札が38件、計28.7MW、36.3%でしたので件数、容量は小さくなっています。0円落札は2023年度4Qで20MWの案件が最初でした。その前の2023年度3Qの最低落札価格は7.94円でしたので一気に0円落札が出たと話題になったものでした。その後、2024年度は0円落札がなくなり、2025年度から2回連続で0円落札がありました。
太陽光第 24 回入札(令和7年度第1回)の結果について
https://nyusatsu.occto.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00PGA00000nqTSB
太陽光第 19 回入札(令和5年度第4回)の結果について
https://nyusatsu.occto.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00PGA00000jf8Gk
2024年度1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 2025年度1Q | 2Q | |
募集容量 | 93MW | 107MW | 93MW | 93MW | 79MW | 115MW |
入札容量 (件数) | 118MW (59件) | 34MW (22件) | 56MW (23件) | 144MW (43件) | 144MW (73件) | 202MW (60件) |
落札容量 (件数) | 93MW (47件) | 34MW (22件) | 56MW (23件) | 93MW (5件) | 79MW (59件) | 115MW (47件) |
上限価格 | 9.2円/kWh | 9.13円/kWh | 9.05円/kWh | 8.98円/kWh | 8.90円/kWh | 8.83円/kWh |
平均落札価格 | 6.84円/kWh | 8.08円/kWh | 8.17円/kWh | 5.06円/kWh | 4.06円/kWh | 5.38円/kWh |
0円落札の背景
2025年度から0円落札が多く出て来た背景は何でしょうか。一つはバランシングコストが最大1円上乗せされると言うことがあるかと思います。元々バランシングコストは2022年度に1円/kWh交付され、毎年少しづつ減額されて行くことになっていました。それが2024年-2026年度に稼働するものについては稼働年に1円交付されることになりました。
大量導入小委 2024.2.7
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/059_01_00.pdf
そして2025年度からはこれに1円増額されることになりました。そのため、2025年度に稼働出来るものは2円のバランシングコストを受け取れることになります。FIP基準価格がかなり下がっていてプレミアムを得られるか分からないためバランシングコストを確実に得るために0円で応札したのではないかと思われます。
令和7年度以降の調達価格等に関する意見
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20250203_1.pdf
2024年度から説明会制度が始まったためFIPを選択するとそのルールに基づいて説明会を実施する必要があります。FIP応札の3カ月前には説明会を実施しておく必要があるなど時間的な制約が出て来ますが、それでも非FITではなく、FIPを選ぶ理由は何でしょうか。
FIPとして認定されることにより、再エネ特措法のルールに沿って開発されていると言う安心感はあるかと思われます。
今後
次回、2025年度3Qの募集容量は163MWです。これは入札実施要綱に以下要件が入っているためです。
③ 前回入札において、応札量が入札量以上となった場合
⇒ 次回入札の募集容量は、前回入札量に、応札量と落札量の差分の量の55%を加えた量
115MW + (202-115) X 55% = 48MW
2025年度3Q募集容量 115 + 48 = 163
入札実施要綱
https://nyusatsu.occto.or.jp/servlet/servlet.FileDownload?file=00PGA00000n4t2b
この計算では2025年度の太陽光のFIP落札量は0.5-1GW程度になります。2023年度の非FITは0.2GW程度と推計されているためあわせても2GWには行かないものと思われます。
三菱商事が洋上風力で3海域全部撤退したため直近では洋上風力に積み上げを期待するのは難しいと思われます。そうなると当面は太陽光発電を積み上げるしか再エネを大幅に増加させることが出来ません。
政府の審議会でも以下の様に入札制度につき今後、検討が行われる様です。太陽光を積み上げるにはどの様な制度が望ましいか、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
①入札制度を継続するか、②入札ではなく政府が一律の調達価格/基準価格を設定する方法とするか、今年度の調達価格等算定委員会で御議論いただく
大量導入小委 2025.6.3
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/074_01_00.pdf