TBSの再エネ発電会社、TBS Green Transformation

需要家が再エネ発電会社を設立する動きとして今回はTBSを見てみたいと思います。

TBS Green Transformation設立 (TBS GX)

TBSは2025.6にグループ全体の気候変動対策を推進するための新会社「TBS Green Transformation」を設立しました。

(株主)
TBSホールディングス 95%
UPDATER 5%                               https://innovation.tbs.co.jp/neo_report/975

この会社の事業は以下3つです。

再エネ開発事業 : TBSグループの調達電力用に再エネ発電所を建設
再エネ調達事業 : PPAの締結なども活用したグループ各社への再エネ導入支援
脱炭素支援事業 : エネルギー以外でも事業やサプライチェーンを通じて排出される温室効果
        ガスの削減を支援

(再エネ開発事業)
再エネ開発事業では「耕作放棄地の拡大や就農者の減少といった農業に関連する社会課題の解決につながる営農型太陽光発電などを積極的に検討し、社会から存在を期待される「ストーリー性のある発電所」を建設していくことを基本方針」とする様です。

再エネ適地が減少する中、残された候補地の一つは農地なので自然な流れかと思います。
TBS GXが営農型太陽光発電において発電事業のみを行うのか、営農までカバーするのかが興味深いところです。出来た作物を社員食堂で使ったり、メディアを使って販売することも考えられそうです。

「再エネはUPDATER社へ売電し、UPDATER社が独自のブロックチェーン技術を活用して、トレーサビリティのある電力としてTBSグループ各社へ供給、発電所の運営業務などをUPDATER社へ委託」、と言うことなのでTBS GXは発電所開発に集中する様です。

TBSの脱炭素の取り組み

TBSでは2026年度までにグループ全体の使用電力に占める再エネ比率を100%にすると言う目標を掲げている様です。2023年度には主要3施設のカーボンニュートラルを達成(TBS放送センター、赤坂サカス文化施設、緑山スタジオ)したとのことで3施設での再エネ化は達成している様です。

TBSグループ 統合報告書 2024
https://www.tbsholdings.co.jp/ir/report/pdf/2024/report2024.pdf

その際にはグリーン電力証書、再エネ由来非化石証書を活用しており、グリーン熱証書も調達している様です。

グリーン電力証書 : TBSホールディングス 100万kWh/年
グリーン熱証書 : TBSテレビ 245,840,000 MJ/年

グリーン電力証書
http://www.natural-e.co.jp/green/group.html
グリーン熱証書
http://www.natural-e.co.jp/greenheat/group.html

(GHG排出量)
TBSのGHG排出量は以下の通りです。

Scope 2023年度GHG排出量 (t/CO2)
Scope 1 6,249
Scope 212,675
Scope 3243,140
合計274,359

TBSグループ ESG Data Book
https://www.tbsholdings.co.jp/sustainability/pdf/ESGdatabook.pdf?202409

赤坂熱供給

TBSは1990年に地域の熱供給を担う会社として赤坂熱供給を設立しています。第1プラントのガスエンジンはTBSが所有し、第2プラントのガスタービンは赤坂熱供給が所有しています。先ほどTBSのScope1でそれなりのGHG排出量があったのはこのガスエンジンからの排出量がカウントされているからかもしれません。

(株主)
TBSホールディングス 70%
東京ガス 20%
日本設計 10%

赤坂熱供給
https://www.akanetsu.co.jp/

赤坂熱供給はTBS放送センター、赤坂BizタワーにCGSからの電気を供給している様です。主要3施設で再エネ化を達成済みとのことですが、このCGSからの電気にグリーン電力証書や非化石証書をつけて再エネ化をはかっているものと思われます。

今回TBS GXが再エネ発電所を自ら開発し、その電気を自社に供給する動きと赤坂熱供給での電気供給をどの様に整理するかが興味深い点です。TBS GXは放送センターを含む赤坂エリアへの再エネ供給も視野に入れていますが、そうなると赤坂熱供給の電気が余ることになります。

東京ガスから都市ガス供給を受ける際にクリーンガス証書の供給も受け、出来た脱炭素電気をグループ外に販売することになるでしょうか。

TBSの動きは需要家の再エネ発電事業と言う点だけでなく、既存の発電設備と今後、開発する再エネ発電所の位置づけをどの様にしていくかと言う点でもフォローして行きたいと思います。

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