Amazonの日本での再エネ調達

Amazonが日本で初めて陸上風力からの電気を調達し始めた様です。同社の日本での再エネ調達について見てみたいと思います。

Amazonが日本で初めて投資する陸上風力発電所が稼働開始 2025.7.25 https://www.aboutamazon.jp/news/sustainability/amazons-first-wind-farm-investment-in-japan-begins-operations

Amazonの日本での再エネ調達

現在、Amazonは9件の大規模太陽光・風力発電所、16件の屋根設置の太陽光発電プロジェクトの計25件に投資しているとのことです。同社は投資と言っていますが、発電所そのものにお金を出すのではなく、PPA契約のことをこう呼んでいるものと思われます。

(2025年1月29日現在)

電源所在地発電設備容量発電事業者
太陽光首都圏、東北地方22三菱商事
太陽光首都圏、東北、中部地方38クリーンエナジーコネクト
太陽光首都圏、関西、東北、中部、中国地方16KRエナジー1号
太陽光山口県9.5ENEOSリニューアブル・エナジー
陸上風力青森県33コスモエコパワー
太陽光福島県35EDP Renewables Japan
太陽光北海道10地域電力
太陽光北海道10非公開
太陽光山口県10X-ELIO Japan

16件の屋根設置については詳細はわかりません。最近物流拠点での太陽光設置について発表しています。

  • 名古屋市
  • 太陽光 5.5MW
  • 建屋および駐車・駐輪場の屋根部分、建物の壁面
  • 蓄電池 2.9MWh

Amazonと三菱地所が名古屋市に物流拠点を新設  2025.7.1 https://www.aboutamazon.jp/news/delivery-and-logistics/amazon-and-mitsubishi-estate-open-new-logistics-facility-in-nagoya-city

日本で4件の新たな再生可能エネルギープロジェクトを発表https://www.aboutamazon.jp/news/sustainability/amazon-announces-four-new-renewable-energy-projects-in-japan

Amazonの再エネ調達の特徴

最初に調達しているのが複数のNon-FIT 低圧太陽光です。最近ではFIPの特高太陽光からも調達しています。特高から調達し始めて適地が少なくなって低圧に向かうパターンが良くある様に思いますが、Amazonの場合は少し異なる様です。

コスモエコパワーの陸上風力の電気の調達が最初の陸上風力の案件の様です。土地の造成含めた一からの開発ではなく、リプレース案件です。陸上風力の新規案件では住民からの反対運動で中止に追い込まれるものが少なくないですが、リプレースの場合はそう言ったリスクが低いことからリプレース案件からの調達を決めたのかもしれません。

同様に太陽光ではゴルフ場跡地に設置される発電所からの調達が見られます。まとまった土地になるとゴルフ場が候補になりますが、すでに土地の開発が済んでいる案件であれば反対される可能性が低いと言うこともその背景にあるのかもしれません。

公開情報を見る限りは環境価値だけを取得するバーチャルPPAではなく、フィジカルPPAの様です。生再エネを調達すると言うポリシーがあるのではないかと思われます。適地が減少する中、農地の活用として今後期待される営農型太陽光発電からの調達はまだの様です。

Amazonが日本で調達する再エネ発電設備容量は2023年の101MWから2024年の211MWと1年で倍以上になっていて同社は日本で最大の再エネ調達企業です。コーポレートPPAを最初に始めたのも同社と言うことから日本での再エネ調達の先頭を走っていると言ってもいいと思います。引き続き同社の動きに注目していきたいと思います。

各案件の状況

(太陽光・三菱商事・22MW)
この案件は日本で初めてのPPA案件の様です。低圧の様です。

  • 設備容量:総計約22MW
  • 約450か所
  • 電力小売 : MCリテールエナジー
  • 建設工程管理と技術支援 : 三菱商事エナジーソリューションズ
  • 建設 : ウエストホールディングス
  • 発電量予測と発電インバランスのリスクヘッジ : ElectroRoute

日本初のアマゾン向け再生可能エネルギーを活用した長期売電契約を締結 2021.9.8
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/news/release/2021/0000047707.html

(太陽光・クリーンエナジーコネクト・38MW)

  • Non-FIT
  • 低圧 計 DC 70MW /AC 38MW
  • 約700ヵ所
  • 稼働 : 2025年3月まで

AmazonとコーポレートPPA方式で契約締結 2023.2.15
https://cleanenergyconnect.jp/557/

(太陽光・KRエナジー1号・16MW)

  • Non-FIT
  • 低圧 計 DC 31.35MW /AC 16.335MW

海帆、アマゾン系企業とオフサイトPPA、合計31MW 2023.5.24
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/03379/?ST=msb

KRエナジー1号合同会社
https://kaihan.co.jp/company/subsidiary/

計31.350MW-DC/16.335MW-ACのノンフィット低圧太陽光発電所
https://www.reij.jp/archives/11472

(太陽光・ENEOSリニューアブル・エナジー・9.5MW)
こちらは特高です。

  • 山口県下松市
  • 下松第4メガソーラー発電所
  • 設備容量:9.5MW
  • 稼働予定 : 2025年11月

Amazon とコーポレート PPA 契約を締結 2024.8.2
https://www.eneos-re.com/news/pdf/news_20240802.pdf?001

(陸上風力・コスモエコパワー・33MW)
こちらはリプレース案件です。

(太陽光・EDP Renewables Japan・35MW)

  • DC 44MW / AC 35MW
  • ゴルフ場跡地
  • 福島市松川町水原
  • 稼働 : 2025年第3四半期

https://cafe-dc.com/japan/amazon-signs-two-ppas-in-japan/
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04324/?ST=msb

(太陽光・地域電力・10MW)
地域電力(Hexa Renewables Japan)のホームページによるとFIPで多くの案件を落札していますが、10MW超の案件はないため複数案件の組み合わせと推定されます。

- 地域電力株式会社
GREETING ご挨拶 地域電力株式会社では、森林や山を大きく切り崩したりするのではなく、 「使われなくなっている場所を有効活用する」環境に やさしい太陽光発電所の開発をモットーとしています。 持続可能な未来のために、再生可能エネルギーと...

(太陽光・エクセリオ・10MW)
こちらもゴルフ場跡地です。

  • 山口県宇部市
  • 船木太陽光発電所
  • 船木ゴルフ倶楽部の跡地に建設
  • DC 14.40MW / AC 10MW
  • 2023.1 FIP認定
  • PPA 20年間

宇部市のメガソーラーが稼働、アマゾンに電力供給   2025.7.22
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/05171/?ST=msb

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