RE100で技術要件が改訂された様ですが、変更点は以下の3つの様です。
- 石炭混焼による電力の使用禁止
- 証書の償却確認の徹底
- コーポレートPPA(電力購入契約)における15年ルールの緩和
RE100が技術要件を改定、石炭混焼を禁止 https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20250404.php
15年ルールの緩和
需要家として特に気になる15年ルールの緩和について見てみたいと思います。RE100では新たに再エネの発電所が出来ると言う追加性を重視していて、運転開始後15年以内の発電設備の電力・証書を使うことを求めています。
15年ルールが影響しているのがこちらの図で、「RE規定の環境価値がつく期間」と「RE100対象ではない環境価値がつく期間」で分かれていて前者は運転開始から15年を意識して図で示しています。
短期コーポレートPPAモデルの再エネサービスを提供開始https://www.qenest.com/news/20250407_01
15年ルールには発電設備の運転開始よりも前に契約を締結して、運転開始時点から電気を購入する場合は15年以上経ってもRE100の要件を満たす電気としてみなす例外規定があります。ファイナンスの観点から15年を超えるPPA期間のものがあることに配慮した様です。
ただ規制等で試運転時からRE100企業が電気を引き取れない場合があるため、今回の改訂では規制(regulatory reasons)によりRE企業が最初から電気を引き取れなくても試運転から商用運転まで1年以内であれば15年ルールの例外規定が認められる様です。
先ほどの記事では発電設備の運転開始時に一定期間の試運転を義務づけている国として韓国などをあげている一方、日本は法令で試運転を義務づけていないため、この規定は適用できない、と記載しています。
ただ、日本では電事法により、特高発電所は使用前自主検査が、低圧、高圧は使用前自己確認が義務付けられているので、試運転が義務付けられていると言えるのではないかと思います。
使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2024/11/20241129-1.pdf
仮に使用前自主検査、使用前自己確認が試運転の義務付けとRE100の技術要件上、解釈された場合は使用前自主検査、使用前自己確認を行っている間の電気をオフテイカー以外の企業に引き取って貰っても15年ルールの例外規定が適用されます。
一方、使用前自主検査、使用前自己確認が試運転の義務付けと認められなければ、15年ルールの例外を得るにはオフテイカーであるRE100企業が使用前自主検査、使用前自己確認中も電気を引き取る必要が出て来ます。
15年ルールの例外規定は新設だけでなく、リパワリング時も適用されることが今回明記された様です。
RE100の要件を満たす電気、証書と言うのは価値があるので使用前自主検査、使用前自己確認中の電気の引き取りについては良く考えて対処を考えた方が良さそうです。
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