中小企業にとってのコーポレートPPAとは

産業分野、製造業等の再エネ調達の手法の一つとしてPPAについてみましたが、中小企業にとってのコーポレートPPAにつき見て行きたいと思います。

最近のニュースから

最近のPPAのニュースを見てみると以下の通り1MW以上の案件となっています。もちろんニュース性から小規模の案件はニュースに取り上げられていないと言うこともあるかもしれません。

ZACROS、昭和村に自家消費型メガソーラー稼働 2024.11.6 パネル容量 1.2MW
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04580/?ST=msb

成田空港で2MWの屋根上メガソーラー、東ガス系がPPAで 2024.11.1 2MW 
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04574/?ST=msb

スバルと富士テク、4MW分の太陽光でオフサイトPPA 2024.10.29 4.1MW
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04561/?ST=msb

すかいらーく、オフサイトPPA導入、84店舗に太陽光電力 2024.11.6 1.485MW (AC)
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04577/?ST=msb

現状

ただ、日本再生可能エネルギー地域資源開発機構によると

「地域再エネ会社にヒアリングしたところ、設置先企業の「信用評点が50点未満の先」ならびに、「300kW未満の太陽光」では、営業効率の悪さを理由に、提案自体を敬遠する傾向」にある様です。

日本再生可能エネルギー地域資源開発機構               https://rdo2050.org/carbon-neutral

また、以下によると最近、金融機関はPPAにおいてオフテイクリスクにより注目している様です。PPAでは契約期間が15, 20年と言った長期に渡るのでオフテイカー、電気を引き取る企業、が契約途中で倒産しないかチェックしていると言うことになります。

三菱UFJ銀行 ソーラーウイーク2024 プレゼン              https://www.jpea.gr.jp/wp-content/uploads/sympo41_s4_doc5.pdf

中小企業は事業者にとって営業効率が悪く、金融機関にとってもオフテイクリスクがあるのでPPAを締結するのが簡単ではないと言うことになるかと思います。

対策

先ほどの日本再生可能エネルギー地域資源開発機構ではこの課題につき、リース会社による割賦契約や地元施工者ネットワークをベースとした中小企業むけ自家消費型太陽光普及スキームRoof Plusを開発して対応している様です。

ただ、これはオンサイトで300kW未満を対象にしていると思われるので、中小企業がそれ以上の規模の再エネ電力を必要とする場合はどうするかも考える必要があります。
より大規模になるとオフサイトになりますが、先ほどの課題の一つであるオフテイクリスクに対応しなければなりません。

試案

一つの案としては1社ではオフテイクリスクがある場合に異なる企業の工場を複数束ねるとそのリスクを低減出来ないでしょうか。同時に全工場が倒産し、電気を引き取れなくなるリスクは1社の時よりも小さくなる様に思います。

発電所からの電気だけで工場等の電気の需要を賄えない場合、不足部分の電気の供給を受けないと行けないですが、分割供給(*)のことを考えると発電所からの電気と同一の電力小売事業者から不足部分の供給を受ける方が手続きがスムーズに行き、コストも抑えられる可能性があります。そうなると複数の企業の工場の電力小売事業者を同じ事業者にする必要があります。

(*)分割供給に関するQ&A https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/regulations/bunkatsukyokyu/index.html

倒産リスクを考えると異なる業種の企業を束ねた方が良さそうです。また、土日を休む工場と稼働する工場を組み合わせた方が需要の平準化を行えそうです。

複数の需要家を15,20年、1つのPPA契約で束ねることが現実的かについてはもう少し掘り下げて考えた方が良さそうです。

現状、コーポレートPPAは大企業が中心ですが、一巡すると中小企業向けについても考えていく必要が出てくるためより良いより良いモデルにつき引き続き考えて行きたいと思います。

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